応用行動分析は個人的にとても役立つものだと思っていますが、そのことをもっと広く知ってもらうにはどうすればいいんだろうとよく考えたりしています。
そんなときに、大久保賢一先生のTwitterで、『3ステップで行動問題を解決するハンドブック-小・中学校で役立つ応用行動分析学』という本を知りました。2019年4月発売の本です。
大久保賢一先生が書かれた本ということで、購入することをすぐに決め、楽天での買い物のポイントが増えるタイミングを狙って購入しました。中身を見る前から、「行動分析学を勉強したい」という学校の先生に紹介したりもしています。
まだ読み切っていませんが、パラパラ見た感想などを書いていきたいと思います。
『3ステップで行動問題を解決するハンドブック-小・中学校で役立つ応用行動分析学』の目次
まず、目次から見てみましょう。
はじめに
『3ステップで行動問題を解決するハンドブック』
序章 行動を理解するための「ABC」
第1章 望ましい行動を育てる3ステップ
第2章 問題となる行動を解決する3ステップ
第3章 行動支援の成果を広げて定着させる
第4章 ステップ方法でケースを解決してみよう!
第1章と第2章はステップ1~3、第3章はステップ1~2、第4章は事例、という構成になっています。
- 育てるステップ1:スモールステップの目標設定
- 育てるステップ2:自力でできるヒントの提供
- 育てるステップ3:やりたくなるしかけづくり
- 解決するステップ1:問題の理由を探り出す
- 解決するステップ2:目標を設定する
- 解決するステップ3:作戦を立てて実行に移す
- 広げるステップ1:ここでもできた!を増やす
- 広げるステップ2:「チーム」で取り組む
第1章から第3章のステップはこんな感じになっています。これらの内容を基にして、事例の第4章があるという構成です。
『3ステップで行動問題を解決するハンドブック-小・中学校で役立つ応用行動分析学』の概要と感想
『3ステップで行動問題を解決するハンドブック』は行動分析学(応用行動分析学)を知らなくてもわかりやすい構成になっていると思います。しかも、この1冊に行動分析学の重要なポイントが凝縮されています。
ここまでコンパクトにまとめられるんだなと、大久保先生のすごさを実感できます。
『3ステップで行動問題を解決するハンドブック』は、小学校教員歴3年のサクラ先生(本の中では「サクラ」)がケンイチ先生のレクチャーを受けるという作りになっています。「サクラmemo」や「column」もあり、説明されていることのまとめ、さらに詳しい説明も知ることができます。
序章から第3章はQ&A形式になっています。序章の最初の質問は「何度言ってもできない子をどうにかしたい!」です。それらの質問を通して、応用行動分析学について説明がなされています。
質問に対する答えとして説明されているものをリストにすると下のようになります。
- シェイピング
- 課題分析とチェイニング
- プロンプト
- 強化
- 強化子のアセスメント
- トークンエコノミー
- 機能的アセスメント
- 代替行動
- 3つの方略(先行事象、行動、結果事象に対する方略)
- 行動支援計画
- 行動試験計画の評価と修正
- 般化
- チームワークづくり
「般化」については、「担任の授業ではできるのに、専科になるとできない」という問題などに対する解決策にもなるので、要チェックです。ただし、本の中での質問は「学校でできるようになったことが家ではできません」となっています。
第4章は何人かの先生がケンイチ先生に相談するという形になっています。全部で7事例あるので、応用行動分析学をどのように使えばいいかを具体的に知ることができると思います。
ここの部分は、ケンイチ先生のコンサルテーションと見ることもできるので、スクールカウンセラーなどの心理職がコンサルテーションのやり方を学ぶためにも活用できます。
個人的には、学校の先生に紹介する行動分析学に関する最初の本として使えそうなのが嬉しく思っています。大久保先生、ありがとうございます!
最後に、「はじめに」に書かれている重要なポイントを引用して終わりたいと思います。このことは僕も常に心に留めておくように気をつけるようにしています。
※ABAは応用行動分析学のことです。
ABAを学校教育や子育てに生かそうとする際に気をつけなければならないことがあります。それは単純に「子どもに言うことをきかせること」や「扱いやすい子どもに育てること」をゴールにするべきではないということです。例えば、「自分の指示に無条件に従う子ども」「嫌なことを我慢し続ける子ども」などは、一見「扱いやすい」と思われるかもしれませんが、実はこれらの子どもはある意味で全て「問題行動予備軍」といえます。(p.2-3)
『3ステップで行動問題を解決するハンドブック』
