最近興味を持っているポジティブ心理学。興味を持った理由はいくつかあります。その1つはACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)との関係しています。
ポジティブ心理学を学んでみようと思ったきっかけは、知り合いからポジティブ心理学に関する本を読んだことがあるか聞かれたことでした。
その人は、大学院の授業でポジティブ心理学関係の本が教科書だから、知っていたら少し教えてほしいと言っていました。でも、ポジティブ心理学は全く知らなかったので、役に立てず。
その話の中で、ポジティブ心理学はセリグマンが生みの親という話を聞いて驚きました。
学習性無力感のセリグマンです。
これが興味を持ったきっかけです。そして、その知り合いから、TEDでのセリグマンのスピーチを教えてもらい、その逐語を読んでものすごく面白かったのです。
学習性無力感とポジティブ心理学
Martin Seligman(マーティン・セリグマン)は、学習性無力感で有名です。普通に心理学を学んでいれば、ほとんどの人が出会う名前なんじゃないかなと思います。
学習性無力感というネガティブな現象の理論を確立した人が、ポジティブ心理学の生みの親であるという事実は衝撃的でした。そのギャップに興味を駆り立てられました。
その知り合いから、セリグマンが娘から”私みたいな普通の人がもっとハッピーになるための心理学はないのか”みたいなことを言われて、今で言うポジティブ心理学の興味を持ったということを聞いて、さらに興味が出てきました。
正直、ポジティブ心理学という響きが怪しげだったので、距離を取っていました。でも、セリグマンが生みの親であること、知り合いから教えてもらったことなどがあり、詳しく知りたくなったのです。
そして、決定的だったのが、セリグマンのTEDでのスピーチです。
セリグマンのTEDでのスピーチ:ポジティブ心理学
セリグマンはTEDでポジティブ心理学についてスピーチを行っています。そのスピーチを文字起こししたものを教えてもらい、一気に読んでしまいました。
このスピーチで興味深かったのは、
私が30年前に初めてセラピストになった時には、患者を落ち込ませず、心配をなくし、怒りを和らげれば幸せにできると思っていました。でもそうなったことはありません。できたことは人をゼロに持ってくることでした。しかし、彼らは空っぽのままでした。
https://logmi.jp/business/articles/26574
という部分です。
ネガティブなものをなくせば、ハッピーになれるわけではないということですよね。「落ち込まない = ハッピー」ではないということです。
落ち込んでいる人が落ち込まなくなっても、それはゼロになるだけで、プラスになる保証はありません。不幸だったのが普通になるだけで、ハッピーになるとは限らないということです。
これはすごく大事なポイントのように思っています。だからこそ、ポジティブ心理学に価値が出てくるのかもしれませんね。
そのポジティブ心理学では、3種類の「幸せな生き方」があるそうです。
- 楽しい人生
- 夢中になる人生
- 意味のある人生
それぞれについて詳しいことはTEDのスピーチに任せるとして、意味のある人生について少し考えてみます。
意味のある人生について、TEDのスピーチでセリグマンは次のように説明しています。
これは伝統的にも、幸せの中で最も尊敬されるものです。前の項目、好きな事に没頭することと並行して、自分より大きな何かに捧げるために、自分の最も高い強みを知ること、そしてそれを使うことから成り立ちます。
https://logmi.jp/business/articles/26574
この意味のある人生が、ACTの価値と関連しているような気がしています。
ポジティブ心理学とACT
残念ながら、ポジティブ心理学について詳しくはわからないので間違っているかもしれませんが、ACTと親和性があるような印象を持っています。
ACTの価値は、『アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)第2版-マインドフルな変化のためのプロセスと実践』で、『Mindfulness for two: An acceptance and commitment therapy approach to mindfulness in psychotherapy.』からの引用として、
ACTでは、価値とは、自由に選ばれるものであり、進行中で、動的で、徐々に展開していく活動パターンがもたらす言語的に構築された結果である。そして、それは価値づけられた活動パターンに従事すること自体に本来的に備わっている、その活動に対する優勢な強化子を確立するものである。(p.149)
『アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)第2版』
と書かれています。
どこかで、価値の定義として「正の強化を最大にする方向性」というのも見た気がしますが、見つけることができませんでした。
このようなACTの価値は、ポジティブ心理学の意味のある人生に関係しているような気がします。だから、ポジティブ心理学を詳しく知りたいと思ったのです。
ポジティブ心理学に興味を持った理由
ACTでは価値とコミットメントが重要であるとされています。わかりやすく言えば、「あなたがワクワクすることは何ですか? それを今やっていますか?」という感じかなと思います。
落ち込んでいたり、心配していたり、怒りがあったりしても、ワクワクすることができていることが大事という感じです。
ネガティブなことを無視するわけではありませんが、常にポジティブなことに目を向けているのがACTなんだろうと思っています。この辺がポジティブ心理学とリンクするんじゃないかなと思っているポイントです。
「人は何のために生きるのか?」みたいなところですね。
人生の最後に、「いい人生だったな」と思えるためには、今何をした方がいいのか。不安などをなくすために時間と労力を使うのか、ワクワクすることのために時間と労力を使うのか。
こんな感じのことを意識している中に、ポジティブ心理学の意味のある人生というものが飛び込んできたので、それは興味を持たないわけがありません。
ネガティブなものをなくすだけでは、ハッピーになれない。ハッピーになるためには、ハッピーになるための方法が必要。
この考えが明確になったのは、セリグマンのTEDでのスピーチのおかげです。
幸せになる技術、快楽の人生を生きる技術、夢中の人生を生きる技術、意味の人生を生きる技術は、苦難と不幸を取り除く技術とは違っていることに気づきました。
きっとそうなんだろうけど、それが本当なのか、本当だとしたらどうすればいいのか、ということを知りたいと思いました。だから、ポジティブ心理学を学んでみようと決めたのです。
その第一歩として、『ポジティブ心理学-21世紀の心理学の可能性』という本を選びました。読み進めながら、感想などなどを書いていく予定です。