臨床行動分析のABC

行動分析(behavior analysis)あるいは行動分析学は、行動に関する学問分野です。動物実験などの基礎系から、人間に応用した臨床系まで統一した理論として構築されているという特徴があります。

行動分析学を基礎とした心理療法としては、DBT(弁証法的行動療法)やACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)などが有名です。個別の心理療法についてはマニュアルなどで知ることができますが、その基礎理論を学ぶための書籍としては、この『臨床行動分析のABC』がとても役に立ちます。

行動分析学をほとんど知らない人にとっても、最初の1冊としてオススメできる本だと思っています。

『臨床行動分析のABC』の目次

臨床行動分析のABC』は3部構成となっています。行動分析学特有の見方や条件づけを学んでから、臨床への応用に進んでいくという構成です。

イントロダクション

第1部 行動を記述する
第1章 問題を行動のカタチ(形態)から捉える
第2章 行動を観察する
第3章 文脈の中で行動を捉える

第2部 行動を理解する
第4章 レスポンデント条件づけ
第5章 オペラント条件づけ(1)
第6章 オペラント条件づけ(2)
第7章 関係フレームづけ
第8章 ABC分析を応用する

第3部 行動を変える
第9章 機能分析
第10章 行動変容へ向けての会話
第11章 3つの原理と実践をつなぐ
第12章 実践の原則(1)
第13章 実践の原則(2)

『臨床行動分析のABC』

イントロダクションでは、行動主義や機能的文脈主義などの科学哲学に関することが説明されています。行動分析学の見方に馴染んでくると、科学哲学が説明されている意味や重要性がよくわかるかなと思います。

第1部では、行動をどう記述していくかということについて書かれています。行動分析学は行動に関する学問分野であるため、行動に関する記述がとても重要になります。条件づけの話に入る前に、どのように記述していくかの基礎を学ぶという感じです。

第2部では、おなじみのレスポンデント条件づけやオペラント条件づけが出てきます。行動分析学をあまり知らない人にとっては、古典的条件づけや道具的条件づけと言った方がわかりやすいかもしれません。それぞれが全く同じ意味で使われるわけではありませんが、それは別の機会に。

第2部の第7章には「関係フレームづけ」というものが出てきます。初めて出会う言葉という人もいるかもしれませんが、これは認知を行動として捉えたときに重要になってくるものです。認知行動療法(CBT)では認知と行動を分けて考えますが、行動分析学にとっては認知も行動ということになります。この辺の感覚はなかなか難しいと思いますが、『臨床行動分析のABC』を読んでいく中で何となくでも理解できればいいかなくらいに考えておくことをオススメします。

第3部でやっと本格的に臨床の話になっていきます。第3部に「行動を変える」という名前が付けられていることからわかるように、行動を変えることに関して説明されています。臨床に興味がある人にとっては第3部が一番面白く感じるかなと思いますが、臨床にあまり興味がない人にとってはいまいちな感じかもしれません。

『臨床行動分析のABC』の簡単まとめ

『臨床行動分析のABC』は基礎と臨床を繋ぐための本という感じです。もっと詳しく基礎的なことが書かれた本は他にあり、臨床実践に特化した本も他にあります。その間を繋ぐものとして、『臨床行動分析のABC』があると思います。

ということで、章ごとに簡単にまとめてみようと思います。各章の詳細については別の記事でまとめます。

イントロダクション

普通なら第1章からまとめていくことになると思いますが、『臨床行動分析のABC』はイントロダクションからしっかりと読んでいった方が理解が進むと思います。行動分析学の大事なところがギュッと凝縮された感じという感じです。

行動分析学では、「行動」という言葉を一般的な意味とは異なった意味で使います。簡単に言えば、生体のすべての反応を「行動」として見るのが行動分析学の特徴です。このように「行動」を定義すると、認知と呼ばれるものの「行動」になります。これは臨床行動分析において重要なポイントです。

行動分析学にとってもう1つ重要なものは「機能的文脈主義」です。厳密には意味が異なるようですが、「徹底的行動主義」というのもブラウンさんとスミスさんの話で、同じカタチの行動でも文脈によって機能が異なることが説明されています。機能的文脈主義ですね。これも行動分析学にとってとても重要です。

機能的文脈主義という科学哲学は、絶対的に正しいというわけではありません。これは「見方・捉え方」なので、選択するものです。別の見方・捉え方を選択すれば行動分析学とは違う考え方になります。

『臨床行動分析のABC』がどのような視点で書かれているのかが説明されているのがイントロダクションという感じです。行動分析学にあまり馴染みがない人にとっては少しわかりにくいかもしれませんが、『臨床行動分析のABC』を読み終わる頃には理解しやすくなっていると思います。

第1章 問題を行動のカタチ(形態)から捉える

行動分析学(臨床行動分析)では、問題を行動として捉えていくことになります。第1章では、問題を行動のカタチ(形態)から捉えることについて説明されています。

例えば、「自信の欠如」という問題。「自信の欠如」が問題なのであれば、「自信が持てるようになればいい」という解決策が浮かぶと思います。そして、実際にそのような対応がなされることも多いと思います。

そのとき、「自信の欠如とは何なのか?」、「自信の欠如はどのようにわかるのか?」ということはあまり考えられないかもしれません。行動分析学は、「自信の欠如」のようなものを行動に還元する形で問題を捉えていきます。つまり、「自信の欠如」を行動として記述していくわけです。

『臨床行動分析のABC』の第1章では、問題を行動のカタチ(形態)から捉えることについて詳しく説明されています。行動分析学(臨床行動分析)を理解する上で、避けては通れないところです。行動分析学の見方・捉え方を理解するためにも、じっくりと読み進めることをオススメします。

第2章 行動を観察する

近日公開予定

第3章 文脈の中で行動を捉える

近日公開予定

第4章 レスポンデント条件づけ

近日公開予定

第5章 オペラント条件づけ(1)

近日公開予定

第6章 オペラント条件づけ(2)

近日公開予定

第7章 関係フレームづけ

近日公開予定

第8章 ABC分析を応用する

近日公開予定

第9章 機能分析

近日公開予定

第10章 行動変容へ向けての会話

近日公開予定

第11章 3つの原理と実践をつなぐ

近日公開予定

第12章 実践の原則(1)

近日公開予定

第13章 実践の原則(2)

近日公開予定

終わりに

『臨床行動分析のABC』は個人的にオススメの1冊です。臨床に興味がある人なら楽しみながら読めると思います。ただ、どうしても行動分析学の見方・捉え方に馴染めない人には、行動分析学関係の他の本と同じように苦痛かもしれませんが。

少しでも行動分析学に興味があったり、行動分析学はどんな感じで臨床に応用されているのか知りたかったりしたら、手に取ってみることをオススメします。

臨床行動分析のABC|日本評論社
臨床行動分析のABC。ユーナス・ランメロ氏。ニコラス・トールネケ氏。松見淳子氏。武藤崇氏。米山直樹氏。日本評論社は1918年創業。法律時報、法学セミナー、数学セミナー、経済セミナー、こころの科学、そだちの科学、統合失調症のひろば、など評価の高い雑誌を定期刊行しています。