行動分析学には機能分析、ABC分析と呼ばれるものがあります。
どちらも同じものなのですが、機能分析/ABC分析とは何なのでしょうか?
今回は、行動分析学における行動を分析するための枠組みである機能分析/ABC分析について説明します。
機能分析/ABC分析とは?
行動分析学では行動を分析するための枠組みがあります。
その枠組みを使った分析のことを、機能分析、あるいはABC分析と呼びます。
『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ-言語行動理論・ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)入門』には、機能分析について次のように書かれています。
行動分析では、オペラントに関連した出来事の連鎖(operant sequence of events)を記述する場合、ABCを使うのが一般的である。このような連鎖を分析することを「機能分析を行う」と表現する。中心となるのはBで、これは「行動(behavior:「何かが行われている)」を表す。この行動あるいは反応こそが、私たちが「予測と影響」を与えようとしている対象のことである。Cは、「結果(consequence)」を表す。(中略)残るAは、「先行事象(antecendent)」または「先行するもの(that which precedes)」を表す。(p.22)
『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』
ABCというのは、先行事象(A)、行動(B)、結果(C)のことです。このABCを使って分析するため、「ABC分析」と呼ばれることがあります。
また、基本的には同じ意味ですが、ABCの連鎖を分析することを「機能分析」と呼んでいます。
おそらく明確に使い分けられることはないと思うので、同じものだと理解して問題ありません。
機能分析/ABC分析では、下にある図のようなものがよく使われます。
行動を中心としてその前後を含めて分析します。
なぜ「機能分析」と呼ばれるかというと、それは「行動がどのような結果をもたらす機能を持っているか」という視点で分析を行うからです。
行動分析学の科学哲学は「機能的文脈主義」と言われることもあり、「機能」というのが1つのキーワードになっています。
例えば、ある行動をして周囲からの注目という結果が得られているとします。この場合、その行動は「注目獲得機能を持っている」と表現されます。
ここが重要なポイントで、もしその行動を別の行動に置き換えたいなら、同じ機能(ここでは注目獲得機能)を持った別の行動に置き換えることになります。
機能分析/ABC分析と強化・弱化
機能分析/ABC分析では、現在生起している行動を分析することになるので、行動を増やす「強化」について見ていくことになります。
まずは何が起こっているのかを分析し、その後に対応法を検討・実施、そして検証・修正を行っていきます。
何が起こっているのかの分析として機能分析/ABC分析を使います。
行動が減る「弱化」については、生起してほしい行動がなぜ生起しないのかということを理解するときに活用します。
たまにやる行動をもっと増やしたい場合、その行動が増えない理由として弱化が関係していることもあります。
例えば、発言したときに笑われることがあれば、その行動は減っていく可能性がありますし、間違うことが多ければ発言しなくなることもあります。
機能分析/ABC分析と先行事象
機能分析/ABC分析では、先行事象も重要な役割を果たします。
先行事象はある行動とその結果のつながりを示すものなので、ある先行事象が提示されると自動的に「行動→結果」の連鎖に繋がっていきます。
見方を変えれば、ある行動を生起させる先行事象がなければ、その行動が生起する可能性は低くなるということになります。
児童・生徒の行動を増やしたければ、その行動と結果のつながりを示す先行事象を提示します。
逆に、児童・生徒の行動を減らしたければ、その行動と結果のつながりを示す先行事象を提示しないようにします。
このように、機能分析/ABC分析では先行事象も重要な役割があり、それを理解しておくことがとても重要になります。
まとめ
機能分析/ABC分析は、先行事象、行動、結果のつながりを分析することです。その分析が行動分析学を使うときに必要になります。
行動と結果の関係では強化と弱化について見ていきます。
先行事象と行動の関係では、ある行動とその結果のつながりを示す先行事象という視点で見てい聞くことになります。
このような機能分析/ABC分析を活用することができれば、児童・生徒の行動を理解し、変えることができるようになります。
コメント